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藍民芸館

「幻灯」

2010年8月号

月刊「藍民芸館」

  7月17日(土)〜来月8月22日(日)の夏の特別展 『明治・大正 懐かしの幻灯』では 開館以来、初めて幻灯を取り上げ、明治・大正時代の貴重な版を多数展示いたします。

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それに因み コレクター松田政秀が幻灯について書いたものを原文のまま、7・8・9月に分けてご紹介いたします。

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        「明治幻燈漫筆」中編    松田政秀

 

 私の手元に、明治三十六年八月七日に、東京神田の大学館で発行された「活動写真術自在」という珍本がある。これは日本で最初に出た映画の本である。その中には幻灯のことにもふれ、これによると幻灯の流行し始めたのは、大体日清戦争の明治二十七・八年より早く、二十年頃ではないかと想像される。その頃東京には錦輝館や明治座などがあって、明治三十年頃活動写真がここにかかって興行の度ごとに大入り大喝采をとったとあるが、幻灯はおそらくそれより十年前にここらあたりで上映されたものではないだろうか。

 私の手元にある一番時代の判然とした種板に「新潟県伝染病発生統計分布図」という種板があるが 明治二十五年の統計が示されている。

そしてこの統計種板は明治三十年迄、計六枚あるから、明治三十年には、既に新潟県内で幻灯は上映されたことは事実と見てよい。この種板と同時に入手したものには、コレラ、黒死病等のものがあり、当時の風俗が手にとるようにわかる。

娯楽の少なかった当時としては、人気流行歌手の来演のように満員の盛況がしのばれるのである。

 幻灯の種板の種類は多く、大別すると次の如くである。

 一 戦争物

   これには上野の戦争、義和団事件、日清、日露、第一次欧州大戦争、軍艦等。

 二 伝記物

   二宮金次郎、菅原道真、乃木将軍、本朝名将伝、楠正成等。

 三 人物

   若き日の明治天皇をはじめ各宮様、明治の軍人、実業家の像等。

 四 劇物

   仮名手本忠臣蔵、不如帰、金色夜叉等。

 五 名所物 

   外国名所、日本名所、東京名所等。

 六 童話物

   一寸法師、花咲じじい、舌切り雀、浦島太郎等。

七 風刺物(漫画)

  書天狗、おしゃべり女、御へいかつぎ、女のお化粧等。

八 教育物

  衛生宣伝、農業宣伝、ブラジル移民、飛行機、軍隊生活等。

九 動き物

  狐の嫁入り、花に嵐、鉄橋と汽車等。

 

 

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