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黒船館

亀の盃台

2007年10月号

亀の盃台
月刊「黒船館」

田中久重(1799〜1881)作

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「開運なんでも鑑定団」(テレビ東京)に出品した「亀の盃台」です。亀の背中に乗る盃に酒を注ぐと歩き出します。昭和10年頃の文芸春秋社の座談会で、ユーモリストであった"とんち教室"の石黒敬七(柏崎出身)がこの「亀の盃台」について話したのをきっかけに、世間が注目するようになりました。

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大正10年、勝田加一が上条村(柏崎市上条)の親戚からこれを貰い受け、彼と親交のあった黒船館主人吉田正太郎が手に入れたもの。

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友人杵淵鋳物工場主人の話で、この品物が「からくり儀衛門」こと田中久重作であることがわかりました。そのとき亀の故障を直したのは、ラジオ屋丸万(丸万電気)主人関三三生でした。

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実は、本物そっくりに動く亀の動力は、腹中にあるゼンマイです。このゼンマイ仕掛けには、今の自動車と同じスピード調節の仕掛けが組み込まれています。だから歩く速度はいつでも変わりません。

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つまり江戸時代には既に、現代に通じる技術があったことをこの亀が教えているのです。しかも、明治8年、発明家田中久重が東京で開業した工場(田中製作所)が、現在の東芝の基礎であるというのです。こう考えると、吉田正太郎収集の「亀の盃台」は、単に珍しいというだけのものではなかったように思われます。ちなみに当品は、幕末、京都の店「機巧堂」で販売していたものだろうといわれています。