• 痴娯の家
  • 黒船館
  • 藍民芸館
  • コレクション学会
  • コレクションの町柏崎
  • ご利用案内
  • コレクション展示品
  • 月刊「黒船館」
黒船館

東京名所 上野鉄道停車場図
   画工兼発行人 藪崎芳次郎 明治22年 石版筆彩

2009年5月号

月刊「黒船館」

 

当館春の特別展「石版画 花だより」展にちなんで、今回、次回の2回、花の描かれた石版画(額絵)を取り上げます。

◆ ◆ ◆

  絵は、今から120年前の上野駅です。開業は明治15年、日本鉄道株式会社によって運営された日本最初の私鉄駅です。春、上野の山はサクラが満開、森の中に寛永寺が見えます

◆ ◆ ◆

 右手、中ほどには到着列車でしょうか、車庫入りの列車でしょうか、煙突から白い煙を吐いています。駅前広場は広く、人はまばらですが、人力車に乗ってきた人、軍人さん、山高帽の紳士、洋傘をさし立ち話をする貴婦人などと様々な人々が描かれています。乗車待ちの人でしょうか、降りてくる人を待っているのでしょうか、夕暮れ時の空、暗くなってきた上野の森、そしてほの暗い駅界隈、今の情景に比べると終着駅上野のわびしさをいっそう感じさせます。

◆ ◆ ◆

 藪崎芳次郎は、自ら絵を描き、印刷、出版を手がけ、東京築地で商売をしていました。明治19年から約10年間、多くの額絵(石版画)を出版し、明治25年頃からは多色石版、30年代には写真網目版に挑戦するなど積極的に事業を展開しました。しかし、明治37,8年の日露戦争で二人の子供が亡くなると、次第に気力を失い、ついに営業も振るわなくなったといわれています。