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黒船館

今昔阪神商家之図
( いまはむかしはんしんしょうかのず)

2010年6月号

月刊「黒船館」

  昭和20年(1945)3月、岳父が住み、妻の故郷である北海道に疎開した川上澄生は、吉田正太郎に当てた手紙の中で、泥絵風紙本油彩画を送ると書いています。この泥絵風油彩画が「今昔阪神商家之図」(紙 油彩)です。

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  作品は、物資不足の時代で郵便はがきの裏面に同じテーマを絵替わりにして全50枚、扉1枚をつけて51枚、自作の帙に収まっています。

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 もっとも作品は、一度に全部送られて来たわけでなく、数枚できると郵送されてきたので、吉田正太郎は、毎日、来るか来るかと首を長くして作品の届くのを楽しみに待っていたといいます。

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 作品は、「阪神商家便覧」といった類の明治・大正時代の銅版絵や木版絵を資料として描かれたかと思われますが、画題は川上澄生好み、吉田正太郎好みのものであり、同じような絵でガラス絵や泥絵などにもなっています。

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青い空の色など印象的ですが、全般に明るい色調は終戦直後の暗い世相を跳ね除けるかに見え、よくも丁寧にしっかりと描かれた画風は、真面目な川上澄生の人柄が窺われる作品と考えます。