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黒船館

南蛮ぶり(なんばんぶり)

2010年11月号

月刊「黒船館」

 川上澄生作「南蛮ぶり」(黄紙 多色摺)は、昭和30年(1955)5月第3回日本国際美術展出品作です。「南蛮ぶり」とは「南蛮臭い」という意味ですが、川上澄生らしい作品に思います。

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 極端に省略された鉄製のベッド。そこに横たわり長いキセルでたばこを吸う男女。たばこの渡来した頃を想定して描いたものといいますが、ちょんまげの粋な男は江戸時代の男。時代風の着物をまとい、腰を紐で結ぶ女は桃山時代の女といいます。そういわれると、どこかちぐはぐの感じがしますが、それでいてまとまっています。

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 作品は、川上澄生自身お気に入りのものであったといいますが、画面いっぱいに、どこか南蛮風で妖しげな雰囲気が漂います。

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 川上澄生の「南蛮」の世界は多様です。つまり、川上澄生の「南蛮」の世界は、現在から見ると、明治時代の文明開化も、桃山時代の南蛮・紅毛の文化も、キリストの文化も、すべて同じ過去のものであり、それ程の差異があるわけでなく、その底に流れるものは、新しいものに対する驚異と好奇心であるというのです。

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 そして、西洋文化の日本文化への受容は、不思議にちぐはぐでいて安心していられる調和があったというのです。「南蛮ぶり」にも、こんな川上澄生の考えや想いが垣間見られるように思います。

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