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黒船館

「地獄の釜」版画 吉田正太郎作

2011年4月号

月刊「黒船館」

 

 吉田正太郎は、慶応普通部時代にパレット部(水彩画)に属していたことや、その頃、郷里へ送った絵手紙などから、若い頃から絵心を持っていたことがわかります。

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 花田屋呉服店3代目店主になってからも、花見手拭を作り、本の装丁、カット、世相風刺の川柳を添えた「あんどん絵」などを描き、花田屋呉服店の包装紙を作り、大屏風に文字を大書し、高野米峰(柏崎市平井)の南画を模写し、版画を良くするなど、商人にして商人らしくなく、さまざまの余技を見せてくれました(「喜寿記念 吉田正太郎余技帳」昭和38年)。

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  吉田正太郎が版画を始めた時期は、はっきりとわかっていません。しかし、戦前はリノリウム版で彫っていたといい、大正10年8月の越後タイムス社主催余技展覧会に版画の出品があります。 少なくとも大正10年以前から版画を嗜んでいたと推測できます。

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 版画」は吉田正太郎の余技の重要な部分です。棟方志功のいうように、素人とはいえそれを仕事とする玄人的領域に達していたのかも知れません。

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 この作品は、川上澄生の好きな版画でした。恐らく「極楽」と題する版画と一対の作品であり、背景には、正月と盆の16日には地獄の釜が開くという民間伝承があると思いますが、さまざまの鬼の顔もそうですが、確かにそっと釜の蓋の下からのぞく人間の顔は味があり、加えて、釜と紋印による「かまわぬ」「かまわぬ」という暗示は、画面にいっそうのおかしさを増しているように感じます。

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      この春の特別展で、「吉田正太郎の余技と蒐集」展を開催致します。