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黒船館

「 かわら版 日本山御武光寺由来
(にほんざんごぶこうじゆらい ) 」

2012年3月号

かわら版 日本山御武光寺由来

                   

月刊「黒船館」

吉田正太郎の収集したかわら版は、彼の分類によれば「大名もの」に対する「庶民もの」です。いわば一級資料とはいえないものの、その頃の政治情勢や社会情勢、世相、当時の庶民の心情などに接することができます。

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資料の内容は、虚実こもごもとはいえ、有名な和歌や狂歌などによる「見立てもの」の洒落をきかした世相風刺は、簡潔にして率直の中に幕末混乱期の庶民の心の中を垣間見ることができます。

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このかわら版は、寺社の由来話に見立てて、黒船来航時の尊皇攘夷の風潮を面白可笑しく風刺したものです。山号は日本山、寺の名前は御武光寺、これだけでも「日本強し」の感十分ですが、本尊の名前もすごく、「御台場大丈夫武道明王」です。

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不動明王にたとえられた本尊様は、石垣を積んだお台場に備え付けられた大砲の上に甲冑姿で座り、光背には剣を配しています。その説明には、そもそも御台場大丈夫武道明王は、国家安全明王のために建立したもので、戦場に向かう時は、「武威の光明をかがやかせ、毛とう人共にらめころさんとの御せいぐわん(誓願)也」とあり、眼光炯炯と眼を光らせ、あめりか童子、おろしや童子をにらみつけている様子が描かれています。

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そして、本地佛の名は、「交易正観世音菩薩」、その説明には、交易をしようと日本に渡ってこられた仏様で、以来民衆は大嘆き、早く帰ってもらいたいので信仰しているとあります。このかわら版から、交易を求めてきたアメリカのペリー一行の来航は、当時の人々にとっては「ありがた迷惑」だったようです。早く帰ってもらって一刻も早く平穏な生活を取り戻したかったのが庶民の願いであったのがわかります。

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ちなみに、このかわら版は、御台場大丈夫武道明王などの文字などから、慌てて造ったお台場が一部完成した頃に発行されたものと推測されます。